林の中の一本道。
日常を抜け出したくて、自然と歩調が速くなった。
その青は悠然と僕らを迎え、包む。
一瞬、時が止まった。
きらめいていた。
目の前に広がる色を言葉でこまかく表現するのは不可能だった。
いつの頃からか、海へ行くことも、泳ぐことも敬遠していた自分。
自然とそれをリセットするように波打ち際に駆け寄り、そして飛び込む。
ふと視線を感じ、うしろに目をやると彼女がイタズラ気に微笑んでいる。
「どうしたの?」と僕。
「あなたも子供のようにはしゃぐことがあるんだね。初めて見た。」
と週刊誌の記者ばりにしたり顔。
ちょっと悔しい…
それと同時にこの場所を教えてくれたことに感謝と尊敬の気持ちも広がった。
そうだ、次は泊まりで来て、向こうに見える無人島で1日過ごそう。
きっとこの青はいつでも僕たちを待っていてくれる。そんな気がした。