霧島神宮への参拝をした後、主祭神である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が降り立ったまさに天孫降臨神話の場所で天逆鉾(あまのさかほこ)が山頂に突き刺さっている高千穂峰(たかちほのみね)への登山をしたのでご紹介します!
ちなみに登山の超初心者というかほぼ未経験者が一人で登ったので、そのあたりの感想や情報もお伝えします。
※現在、高千穂峰の隣、新燃岳(しんもえだけ)の噴火に伴い、中岳・新燃岳へのコースや縦走コースは規制が実施されているのでご注意ください
(高千穂峰へ登るルートは開放されています)
鹿児島県側からのルートの最新情報
(高千穂河原ビジターセンター)
宮崎県側からのルートの最新情報
(宮崎県)
目次
高千穂峰とは?
高千穂峰は鹿児島県と宮崎県にまたがる標高1574mの霧島連山に属する山です。
霊峰として古くから信仰の対象となっている山でもあります。
その理由は、日本最古の書物「古事記」にも記載がある天孫降臨神話の舞台となっているためで、霧島神宮が創建された6世紀当時は社殿も高千穂峰と御鉢の間に造られたといわれています。
(現在の場所にある霧島神宮の拝殿も高千穂峰の方向を向いています)
天孫降臨神話とは?
日本神話の中で、天照大御神(あまてらすおおみかみ/伊勢神宮の主祭神・日本国民の総氏神)の孫、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が三種の神器を携え、神々と共に地上を治めるために降り立ったという伝説です。
この記事もCheck!
霧島神宮は天孫降臨の神様?ご利益や駅からのアクセス方法も解説!
天逆鉾(あまのさかほこ/あめのさかほこ)とは?
高千穂峰の山頂には瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が突き刺したと伝わる「天逆鉾(あまのさかほこ)」が天に向かって立っています。
これは国家が安定して矛が二度と振るわれることがないようにという願いが込められているといわれ、その神秘性から日本三奇にも数えられています。
諸説ありますが、この矛は国づくり(日本の国土を作った伝説)の際に使われていた「天沼矛(あめのぬぼこ)」であるともいわれています。
天逆鉾は霧島六社権現の一社、霧島東神社(宮崎県西諸県郡高原町)の社宝とされていますが、撮影禁止ではなく撮影は可能です。
(撮影は可能ですが天逆鉾を囲む土地は立入禁止で触れることもできません。)
いざ高千穂峰登山へ!
準備・装備編
真夏(お盆ごろ)の登山だったため、服装は半袖+綿パンツだったのですが、山頂付近では風も強く汗も引いて寒かったため、事前にホームセンターで購入していたウィンドブレーカーが役に立ちました。
また、ミドルカットの登山靴も用意しておいて良かったです。
(後述しますが、もしスニーカーだったら…と思うとげんなりしたはずです)
その他は水分は1Lと500mlのペットボトルを1本ずつ、計1.5L分を用意しました。
(下山した時点でちょうどなくなりました)
それらをタオル(2枚)やコンビニで購入した食料と一緒に普段使いのリュックサックに入れて登山をしました。
あと、登山中に持ってきておいた方が良かったなと思ったのは軍手です。
登山道にある岩は溶岩が冷え固まったであろうギザギザの表面だったので、とっさの時につかんだりすると手を切る可能性があるなと思いました。
(幸い、私は負傷することはありませんでした)
まずは高千穂河原からスタート
高千穂河原はかつて移転をした霧島神宮があった場所で、現在は鹿児島県側から高千穂峰へ登るルートの玄関口となっていて、駐車場(有料)や高千穂河原ビジターセンター、飲食店・土産物屋などがあります。
高千穂河原ビジターセンターに登山届を提出していざ出発です!
高千穂峰の古宮跡で登山の挨拶と無事を願う
駐車場近くの鳥居を抜けてほどなくすると、高千穂峰の古宮址(ふるみやあと)があります。かつて平安時代中期のころ、噴火によって山頂付近にあった社殿をこの場所に移したと伝えられています。
ここでは毎年11月10日の夕方に「天孫降臨御神火祭(てんそんこうりんごじんかさい)」という神事が行われます。
斎場で高千穂峰への登山の挨拶と無事を祈願して登山道に入ります。
登山コースの序盤は林の中を進む
登山コースに入って、30分ほどは石段などもある比較的歩きやすい林の中を進みますが、徐々に上り傾斜がついていき、運動不足の体では息がはずみ始めます。
林を抜けて本格的な登山が始まる・・・
林を抜ける頃には結構な勾配で、弾んでいた息がゼーゼーに変わり始めます。そして、林の終わりが見える直線の先には更なる傾斜が・・・最初の心が折れそうなポイントでした。
本当の登山が始まる・・・(中盤~御鉢まで)
林を抜けると勾配がきつくなり、道も歩きにくくなります。
岩場も通るのですが、なんといっても噴火の際の置き土産であろう灰や砂礫、スコリアに足を取られまくり全然進まず、さらに追い打ちをかけるように、砂や小石がとめどなくミドルカットの登山靴に侵入してきます・・・ここで何度も心が折れそうに…というか折れました…
普通のスニーカーで登っていたらと思うとぞっとしつつ、金剛杖や登山ストックがあればと何度も思いました。
登山後にゲイターという砂や水の侵入を防ぐ便利な登山グッズの存在を知りました・・・お持ちの方はぜひ装着を!
↓こういう登山グッズです
>>【ヤフーショッピング】でゲイターを探す(PayPay利用可能)
ただ、大きな岩も点在しているので休憩場所には事欠かないことと、周囲を見渡せば気持ちの良い風景を眺められるので、撤退はなんとか踏みとどまることができました。
ちなみにミヤマキリシマツツジの例年の見ごろは高千穂河原では5月中旬~下旬、御鉢から高千穂峰にかけては5月下旬~6月上旬ごろとのことでした。
御鉢(おはち)から馬の背越えへ・・・しかし更なる試練が
やっとの思いで中盤のクライマックス「御鉢」へ到着。
そして噴火口をのぞき込み、高所恐怖症も忘れるほど自然が作り出す造形に感動していました。
その後に恐怖体験があることとも知らずに・・・
御鉢(おはち)とは
高千穂峰の西側にある霧島連山に属する山で、古くから噴火を繰り返している活火山でもあります。特に直径約600メートル、深さ約200メートルの大きな噴火口が御鉢の特徴です。
火口の北側が登山ルートに設定されていて、道幅も狭く両側が絶壁であることから「馬の背越え」と呼ばれています。
強風が吹く難所でもあり、事故も起こっているので通行時には注意が必要です。
御鉢の風景を堪能後に「馬の背越え」に差し掛かったところ、急に霧に覆われ視界が悪くなり数メートル先も見えなくなりました。
よりにもよって、この難所で視界不良とか運がいいのか悪いのかと思いながら、両側が絶壁ということもあり、好転するまでその場に留まっていたところ、5分ほどで50mくらいは見通せるようになったので何とか進めました。
余談ですが、「霧島」という地名は天上にいる神様が下界を見下ろした際に、「霧に浮かぶ島(山々の山頂部分)」が見えたことが由来とされているようで、霧が頻繁に発生するのかもしれません。
背門丘(せとを)からいよいよ高千穂峰の山頂へ
恐怖を味わった「馬の背越え」をなんとかクリアして、天孫降臨の舞台だったとされる「背門丘(せとを)」で6世紀ごろに創建された霧島神宮の元宮への参拝を済ませました。
※背門丘の由来は御鉢の東側から高千穂峰にかけてくぼんでいて、馬の背中のように見えることからきています(前述の馬の背越えとは異なります)
元宮を過ぎると、いよいよ高千穂峰の山頂への最後の斜面が待っています。
この斜面は頂上に近づくにつれ勾配もきつくなり、最後まで心を折りにかかってくるなと恨み節でしたが、ここまでくると登頂への欲と「天逆鉾(あまのさかほこ)」を見ずに帰れるかという気持ちで登り切ることができました。
そして山頂に刺さっている天逆鉾との対面!
瓊瓊杵尊が国家安寧を願って突き刺したこの天逆鉾は、幕末の英雄、坂本龍馬が日本初の新婚旅行の際に引っこ抜いたという逸話も残っています。
噴火の際に一度折れてしまい、現在刺さっている鉾はレプリカですが、オリジナルの鉾の柄の部分は現在も埋まっているとのことで、なんともロマンを感じずにはいられません。
昼食も含め1時間ほど休憩をして下山を開始しました。
急斜面を転がらないように気を付けながら下山していきましたが、もちろん問答無用に小石や砂が入ってきます。
まとめ
今回は登りは小休憩を取りまくって2時間ほどかかり、下りは1時間ほどで登山することができました。
体力に自信がある方は1時間~1時間30分ほどで山頂まで登ることができると思います。
登っている途中や山頂には中~高学年くらいと思しき小学生も多くいたので、馬の背越えのあたりで特に注意を払えば小学生くらいからでも登山できるのではという印象です。
また、やはり登山初心者は1人で登ると何度も心が折れますので、2人以上で励まし合いながら登ることをおすすめします!
ネイチャーガイドさん同行の登山ツアーなどもあるみたいなので、高千穂峰をより深く知りたい人には良いのではと思います。
霧島ネイチャーガイドクラブの紹介ページ
(鹿児島県観光連盟公式サイト)
あと、下山後に時間の都合で寄れなかったのですが、九州屈指の温泉エリアに立ち寄って汗を流して帰りたかったです。
というわけで、高千穂河原から車で20分圏内の日帰り温泉施設も紹介しておきますので参考にどうぞ!
(それぞれ珍しいお湯や温泉体験ができる施設です!)
新湯温泉 国民宿舎新燃荘
高千穂河原から車で約13分
住所:鹿児島県霧島市牧園町高千穂3968
マップコード:376 237 864*75
新燃岳の麓にある宿泊施設で日帰り入浴のサービスも提供しています。硫黄分を多く含む乳白色のお湯はお肌への効能が高く、その効能と場所柄で新聞社の秘湯番付で大関に選ばれるほど人気です。
日帰り入浴ができるのは男女別の内湯と混浴(要バスタオル着用)の露天風呂、2種類の貸切の内風呂(鹿児島的にいうと家族湯)があります。
営業時間
8:00~20:00
※19:00最終受付
※貸切内風呂は15:30まで
定休日
毎月第2・4火曜日
※祝日の場合は翌日に休み
料金
600円(大人)、300円(小学生)、200円(小学生未満)
貸切内風呂は1,000円/2時間
駐車場
あり
(無料・約50台)
注意事項
・貴重品は受付に預ける形です
・新燃岳の噴火状況によっては休止等になる場合があります
問い合わせ先
新湯温泉 国民宿舎新燃荘
0995-78-2255
新燃荘の紹介ページ
(霧島市観光協会)
さくらさくら温泉
高千穂河原から車で約15分
住所:鹿児島県霧島市霧島田口2324-7
マップコード:376 118 063*55
霧島神宮や神話の里公園にも近い場所にある宿泊や食事もできる温泉施設です。硫黄成分を含んだ乳白色のお湯をはじめ、毎朝源泉から汲まれる温泉泥を使って肌にパックをする入浴方法が人気です。
日帰り入浴ができるのは泥パックもできる男女別の内湯と露天風呂です。その他、ランチバイキング(1,100円/大人、850円/小人)や無料休憩所も人気です。
営業時間
10:00~20:00
(休憩所利用は11:00~15:00)
定休日
無休
料金
700円(大人)、350円(4歳~12歳)
※タオル類は別途有料
駐車場
あり
(無料)
問い合わせ先
さくらさくら温泉
0995-57-1227
湯穴温泉(つあなおんせん)
高千穂河原から車で約17分
住所:宮崎県都城市吉之元町4518-9
マップコード:216 890 002*88
高千穂河原から県道31号線を宮崎(都城)方面に進んた場所にある日帰り入浴施設です。酸化すると茶色くなる炭酸を含んだ鉱泉を加温していますが析出物が多く「濃厚なお湯」として人気です。
男女別の内湯のみで、畳敷きの休憩所があり1日入浴客が対象です。
営業時間
8:00~19:00
定休日
月・火・水曜日
料金
-1回分(1時間)
300円(中学生以上)、150円(小学生以下)
料金
-1日分(8:00~16:00)
1,000円(中学生以上)、500円(小学生以下)
駐車場
あり
(無料・約30台)
注意事項
・ロッカーが無いので貴重品は自己管理です
・外にあるインターフォンで受付です
問い合わせ先
湯穴温泉(つあなおんせん)
0986-33-1380
高千穂峰の動画
登山写真では見られない高千穂峰のドローン映像をご紹介します
高千穂峰への登山風景が収められたプロモーション動画を紹介します
高千穂峰の基本情報
高千穂河原ビジターセンターの利用案内
営業時間
9:00~17:00
休業日
年中無休
入館料
無料
注意事項
・登山届を提出できるボックスはビジターセンターの入口前(屋外)にあるので、いつでも提出が可能です
・新燃岳の噴火の状況により規制が実施される場合もあるので、最新の情報をご確認ください
問い合わせ先
高千穂河原ビジターセンター
0995-57-2505
高千穂峰に関する各種情報ページ
高千穂峰・高千穂河原ビジターセンターへの行き方・アクセス
公共交通機関
霧島温泉駅からの場合
JR肥薩線「霧島温泉駅」より、霧島いわさきホテル行バスで「丸尾①」で霧島連山周遊バスに乗り換え「高千穂河原」で下車
霧島温泉駅→丸尾①バス停までの時刻表
(霧島市公式サイト)
丸尾①バス停→高千穂河原バス停までの時刻表
(霧島市公式サイト)
※「高千穂峰登山バス時刻表」の項目をご確認ください
鹿児島空港からの場合
鹿児島空港より、霧島いわさきホテル行バスで「丸尾①」で霧島連山周遊バスに乗り換え「高千穂河原」で下車
鹿児島空港-霧島エリアのバス時刻表
(いわさきコーポレーション公式サイト)
丸尾①バス停→高千穂河原バス停までの時刻表
(霧島市公式サイト)
※「高千穂峰登山バス時刻表」の項目をご確認ください
車
九州自動車道「溝辺鹿児島空港IC」より、国道504号線、県道60号線・480号線を経由して約50分
駐車場
あり
(500円/日)
高千穂河原ビジターセンターの地図
鹿児島県霧島市霧島田口2583-12
高千穂峰と一緒に回りたいおすすめ観光スポット
霧島神宮
-高千穂河原から車で約15分
丸池湧水(まるいけゆうすい)
-高千穂河原から車で約60分
曽木の滝(そぎのたき)
-高千穂河原から車で約90分