九州と本州のそれぞれの玄関口、門司と下関。
関門海峡を挟み街並みの雰囲気がガラリと変わる二つの街を半日(5時間ほど)でゆっくり歩いてきましたので、周辺の観光スポットやコースを動画と一緒に紹介します。
関門海峡を徒歩で渡ることができるなど、歩くからこそ巡れる穴場が沢山あります!
目次
関門海峡は観光スポットが盛りだくさん!
関門海峡は本州と九州を隔てる交通の要衝として古くから発展してきました。
山口県下関市(本州側)と福岡県北九州市(九州側)では歴史や風景が異なるため、魅力的なエリアとして多くの観光客が訪れています。
門司港エリアの見どころ
北九州市門司区にある門司港エリアは明治時代に特別輸出港に指定されて以来、国際貿易の拠点として日本の近代化を支えてきました。
地区内にはその頃に建てられた建造物が多く残っていることもあり、現在では「門司港レトロ」として九州有数の観光スポットになっています。
唐戸エリア(下関側)の見どころ
下関市にある唐戸エリアも古くから交通の要衝として門司港と結びつきが強く、関門都市圏を形成して栄えてきました。
その中で「壇ノ浦の戦い」(源氏と平氏の最後の合戦)や幕末の「馬関戦争(下関戦争)」などの歴史の転換点で重要な役割を持った場所としても知られ、歴史を感じるスポットが多くあるのが特徴です。
関門海峡を観光する場合の移動方法は?
関門海峡周辺を観光する際にはいくつかの移動手段があります。
1.徒歩や自転車で巡る
関門トンネル人道を通れば、徒歩や自転車で九州側と本州側を巡ることができます。今回はこの手段での観光コースを紹介しています。
2.車で巡る
国道2号線の関門トンネル(有料)を通って九州側と本州側を巡ることができます。
(トンネルの通行料はこの記事でも紹介しています。)
3.電車で巡る
門司港エリア最寄りの門司港駅(JR鹿児島本線)と唐戸エリア最寄りの下関駅(JR山陽本線)は直通で行くことができません。一度、JR門司駅で乗り換える必要があります。
4.船で巡る
下関(唐戸)-門司港 間を結ぶ関門連絡船でも関門海峡を渡ることができます。
(利用情報は後述しています)
徒歩での観光コース紹介
徒歩での観光ルートと各スポットのマップ
※各スポット名の【 】内のアルファベットは地図上のアルファベットの地点に対応しています
門司港エリア
門司港駅【A】
鹿児島本線の起点である門司港駅は「門司港レトロ」を代表するスポットです。
特に駅舎が有名で日本で初めて(※駅舎として)国の重要文化財に指定されています。
長く続いていた復元工事も終わって2019年3月10日にグランドオープンし、大正時代の姿を今に伝えています。
参考:復元工事前の駅舎
JOYiNT門司港(じょいんともじこう)【B】
門司港駅から徒歩約8分
門司港レトロや関門海峡周辺を手軽に観光したい場合に便利なのがレンタサイクルです。
レンタサイクルステーションの「ジョイント門司港」は親水広場に近い場所にあります。
ここでは電動アシスト付自転車や3人乗り自転車などを1,000円/日で借りて、門司港駅周辺や下関までサイクリングをすることができます。
また、2024年2月から電動キックボード(特定小型原動機付自転車)も同額でレンタルできるようになりました。
レンタサイクルターミナル「JOYiNT門司港」
(特定非営利活動法人 I-DO(アイディオ)公式サイト)
観光列車 北九州銀行レトロライン「潮風号」
JR門司港駅の東出口(九州鉄道記念館駅)から関門トンネルに近い、和布刈公園(めかりこうえん)付近へ観光列車に乗って移動することも可能です。
これは門司港レトロ観光線として人気の「北九州銀行レトロライン潮風号」という路線で約2km(4駅)をゆっくり走ります。
かつては貨物を運ぶ臨港線でしたがその路線の休止後、2009年に観光列車路線として生まれ変わりました。
現在は繁忙期や週末限定の運行ですが、運行がある日は多くの人が乗車してレトロな街並みと関門海峡を楽しんでいます。
2024年の運行期間
2024年4月1日(月)~2025年3月31日(月)の土・日・祝日
※元日は休業
※以下の期間は毎日運行予定
お盆期間:8月10日(土)~15日(木)
片道運賃
大人:300円
小児:150円
また、運行日には門司港~唐戸地区~門司港を巡ることができる「関門海峡クローバー切符」も販売(800円/大人)され、乗り物(潮風号、下関のサンデンバス、関門連絡船)と徒歩で関門海峡を周遊できるので人気です。
和布刈神社(めかりじんじゃ)【C】
ジョイント門司港から徒歩約25分
九州最北端に位置する創建1800年以上の神社です。
関門海峡の守護神として古くから崇敬を集め、壇ノ浦の戦い前夜に平家一門が酒宴を催した逸話も残っています。
「和布刈(めかり)」とは「ワカメを刈る」という意味で毎年旧暦の元旦に海岸で刈ったワカメを神前に供え、海上安全や豊漁を祈願する「和布刈神事」が行われます。
(和布刈神事は福岡県の無形民俗文化財に指定されています。)
海上・交通・航海安全の神様の他にも、良縁や夫婦円満、安産、恋愛成就にご利益がある神様も祀っていて、カップルのデートスポットとしても人気です。
また、神社が関門橋の真下にあり鳥居越しに橋と海峡を望められることから、撮影スポットとしても人気が高まってきています。
和布刈神社の利用案内・アクセス
参拝時間
指定なし(参拝自由)
※社務所は9:30~17:00まで
拝観料
無料
駐車場
無料(約5台)
※徒歩5分ほどの場所に「めかり公園」の駐車場(無料/約280台)もあります
アクセス
【公共交通機関の場合】
門司港駅より「[74] 和布刈」行きバスで約10分「和布刈神社前」バス停下車すぐ
バスの時刻表
(和布刈神社公式サイト)
【車の場合】
-福岡方面から
九州自動車道「門司IC」より県道261号線を経由で約15分
-北九州方面から
北九州都市高速道路「春日IC」より県道261号線を経由で約10分
-山口方面から
九州自動車道「門司IC」より県道261号線を経由で約5分
関門トンネル人道【D】
和布刈神社から徒歩で約2分
(トンネルは下関側の出口まで徒歩で約15分)
大阪門司間を走る国道2号線の一部で歩行者と軽車両(自転車と原付)専用のトンネルです。
(トンネルは二層構造で人道の真上に車道が走っています)
全長は約780mで門司側は地下約60m(下関側は地下約55m)です。
関門海峡を徒歩で渡ることができ、市民が通勤や買い物やウォーキングに利用するなど生活に密着している道路です。
関門トンネル人道の利用案内・アクセス
通行可能時間
6時~22時まで
通行料
通行料 | |
---|---|
歩行者 | 無料 |
軽車両 (自転車・原付) |
20円/片道 |
※軽車両は降車・押してでの通行です。
駐車場
門司側:なし
※徒歩3分ほどの場所に「めかり公園」の駐車場(無料/約280台)があります。
下関側:無料(35台)
アクセス
【公共交通機関の場合】
門司港駅より「[74] 和布刈」行きバスで約10分「関門トンネル人道口」バス停下車すぐ
バスの時刻表はこちら
※「和布刈神社前」の隣のバス停のため和布刈神社と同じ時刻表を掲載しています
【車の場合】
-福岡方面から
九州自動車道「門司IC」より県道261号線を経由で約15分
-北九州方面から
北九州都市高速道路「春日IC」より県道261号線を経由で約10分
-山口方面から
九州自動車道「門司IC」より県道261号線を経由で約5分
関門トンネル人道の紹介ページ
(北九州観光コンベンション協会公式サイト)
唐戸エリア
立石稲荷神社(たていしいなりじんじゃ)【F】
関門トンネル人道(下関側)より徒歩約5分
源平合戦の際に西に追われた平家が伏見稲荷大社の分霊をここに祀ったとされる神社です。境内には合戦で亡くなった平家の供養塔もあります。
ご神体は道路を挟んだ先の海中にある注連縄(しめなわ)がかかっている烏帽子岩です。
ここは交通量の多い国道沿いに面していて駐車場も無いことから徒歩や自転車でないと行けないスポットです。
山口県では「元乃隅神社」の鳥居のトンネルが有名ですが規模は小さいものの、こちらは関門橋と一緒に望める場所ですのでかなり珍しい場所と言えます。
立石稲荷神社の利用案内・アクセス
参拝時間
指定なし(参拝自由)
拝観料
無料
駐車場
なし
※厳密には一の鳥居の右側に1台分ほどのスペースがありますが、唐戸方面からのみ進入可能で、国道沿いということもあり駐車しづらいです。
アクセス
【公共交通機関の場合】
下関駅より「国道線(山口宇部空港、城下町長府、小月、小野田、宇部、美祢、長門方面)」行きバスで約12分「御裳川(みもすそがわ)」バス停下車徒歩約5分
バスの時刻表(下関駅発)
(サンデン交通公式サイト)
※唐戸市場最寄りの「唐戸」バス停も経由します
【車の場合】
中国自動車道「下関IC」より県道57号線、国道9号線を経由で約10分
赤間神宮(あかまじんぐう)【G】
立石稲荷神社から徒歩約10分
壇ノ浦の戦いの際に入水して亡くなった幼帝、安徳天皇(あんとくてんのう)を祀っています。
安徳天皇の御陵(墓)や平家一門の墓があります。
竜宮造りの水天門は昔ばなしに出てくる竜宮城のイメージと一致する方が多く、人気の撮影スポットになっています。
また、この神社は怪談「耳なし芳一(Wikipedia)」の舞台としても有名で本殿隣のお堂には芳一の像が安置されています。
赤間神宮の利用案内・アクセス
参拝時間
指定なし(参拝自由)
(社務所は8:30~17:30、宝物館は9:00~17:00)
拝観料
無料
(宝物館は100円)
駐車場
無料(約60台)
【公共交通機関の場合】
下関駅より「火の山線 国民宿舎前行き」のバスで約9分「赤間神宮前」バス停下車すぐ
バスの時刻表検索(下関駅発)
(サンデン交通公式サイト)
※唐戸市場最寄りの「唐戸」バス停も経由します
【車の場合】
中国自動車道「下関IC」より県道57号線、国道9号線を経由で約7分
赤間神宮の紹介ページ
(山口県観光連盟公式サイト)
唐戸市場(からといちば)【H】
赤間神宮から徒歩約5分
正式名称は「下関市地方卸売市場」ですが、全国的にも珍しい一般消費者向けの小売機能も持っている市場です。
下関を代表する観光名所として週末は多くの観光客でにぎわいます。
市場の2階と隣接するモール「カモンワーフ」には飲食店が並び、下関名物のフグをはじめ新鮮な海産物を食べることができます。
活きいき馬関街(ばかんがい)
唐戸市場で毎週末と祝日に定期的に開催される大人気のイベントです。
市場内に海鮮屋台が出店され、それぞれの屋台で寿司や海鮮丼を購入し、2階の休憩所や屋上や海沿いのベンチなどで食べることができます。
とても混雑するので買ったお寿司などを落とさないようにご注意ください。
活きいき馬関街の開催曜日と時間
毎週金曜日・土曜日:10:00~15:00
毎週日曜日、祝日:8:00~15:00
唐戸市場の利用案内・アクセス
開場時間
月曜日~土曜日:5:00~15:00
日曜日・祝日:8:00~15:00
※場内の食堂は店舗により営業時間が異なります
入場料
無料
駐車場
30分/120円(572台)
※午前6時~午後11時まで1時間無料ですが、それを超えると入庫時からの起算で上記料金が発生します
※週末や祝日はとても混雑して満車・渋滞が常に発生しています
周辺の駐車場情報の紹介ページ
(唐戸市場公式サイト)
アクセス
【公共交通機関の場合】
下関駅より「国道線(山口宇部空港、城下町長府、小月、小野田、宇部、美祢、長門方面)」行きバスで約7分「唐戸」バス停下車徒歩すぐ
バスの時刻表(下関駅発)
(サンデン交通公式サイト)
※唐戸バス停に行けるバス路線は上記の他にも多数あります
【車の場合】
中国自動車道「下関IC」より県道57号線、国道9号線を経由で約10分
関門連絡船【I】
唐戸市場から徒歩約1分
「唐戸市場」や「カモンワーフ」、「海響館(水族館)」などがある下関の唐戸地区と門司港レトロ地区を約5分の航路で結んでいます。
関門トンネル人道ができるまでは市民の重要な足として「海上国道2号線」とも呼ばれていました。
「下関(唐戸)⇔門司港」と「下関(唐戸)⇔巌流島(船島)⇔門司港」を結ぶ2つの航路があります。
関門連絡船の利用案内・アクセス
運航ダイヤ
【下関(唐戸)⇔門司港 航路】
それぞれの港から1時間に2~3本が運行されています。
【下関(唐戸)⇔巌流島(船島)⇔門司港 航路】
下関(唐戸)・門司港より、1時間に1~2本が運行されています。
運賃
【下関(唐戸)⇔門司港 航路】
片道運賃 | |
---|---|
大人 | 400円 |
小人 | 200円 |
自転車 | 260円 |
※団体・障がい者割引あり
【下関(唐戸)⇔巌流島(船島)⇔門司港 航路】
往復のみ運賃 | |
---|---|
大人 | 900円 |
小人 | 450円 |
※駐車場やアクセス情報は唐戸市場と同じです
車で関門海峡を渡る場合
車(一般道)で関門海峡を渡る場合、「関門トンネル」(有料)で渡ることができます。
これは前述の関門トンネル人道と同じで国道2号線のトンネルとして海底を進みます。
(全長は約3.5kmですが、そのうち海底部分は780mです)
その歴史は古く、2018年で開通60周年を迎えました。
関門トンネル(車道)の利用料金
対象 | 通行料金(片道) |
---|---|
軽・バイク | 110円 |
普通車 | 160円 |
中型車 | 210円 |
大型車 | 260円 |
特大車 | 420円 |
門司港~下関・唐戸市場の徒歩観光の動画
紹介した各観光スポットを収めた動画です
まとめ
今回紹介したルートは(唐戸市場での食事の時間を含めて)4~5時間で回れるのですが、適度に観光スポットがあるので長距離を歩いた感覚はしないと思います。
紹介したスポット以外にもルート沿いには多数の立ち寄りスポットがあるので、のんびり1日中観光をすることもできます。
門司や下関に行く際には是非このルートも参考にしてみてください!