『肱川あらし』と言われる世界的にも珍しい自然現象が冬の愛媛県大洲(おおず)市で見られます。
今回はその幻想的な自然現象の映像と一緒に、発生する時期や条件、展望スポットを整理して紹介していきます!
目次
肱川あらしとは?とは?
肱川あらしは大洲盆地で発生した霧が肱川(ひじかわ)沿いを強風を伴って下り、瀬戸内海の伊予灘に流れ込む世界的にも珍しい自然現象です。
(厳密には同時に河口周辺と海側でけあらし(蒸気霧)が発生すると、完璧な肱川あらしです)
その姿から「白い龍」ともいわれています。
大洲盆地から肱川河口の直前まで川の両側に山が連なっている特有の地形がこの奇跡の絶景を生み出すといわれています。
今では「日本三大あらし」の代表的なスポットとして人気です。
日本三大あらし
・肱川あらし(愛媛県大洲市)
・川内川あらし(鹿児島県薩摩川内市)
・円山川あらし(兵庫県豊岡市)
肱川あらしのみどころ
雲海が川を下って海にそそがれる!
「日本のマチュピチュ」として有名になった竹田城跡(兵庫県)などで見られる雲海は、一般的には風が無い状態が望ましいといわれています。
(風があると霧がその場に留まれずに散ってしまうためです)
一方、肱川あらしの場合には強風を伴って雲海が川沿いを大移動して海になだれ込むという、通常では見られない貴重な自然現象です。
通常では山や内陸部で見られることが多い雲海が伊予灘に注がれる姿は神秘的な光景です。
肱川あらしの発生時期や時間
肱川あらしは冬の風物詩として例年10月~翌年3月頃まで発生すると言われています。
自然現象ですので条件が揃わないと発生しませんが、特に11月と2月は発生率が高いと言われています。
肱川河口付近で見られる時間帯は午前7時~8時頃に多く、霧の規模が大きいと午前10時ごろまで見られることもあります。
肱川あらしAI予報
(岡山理科大学生物地球学部 肱川あらし予報公式サイト)
肱川あらし予報会の公式YouTbeチャンネル
※動画内で翌日の発生予報をしています
過去の肱川あらしの初観測日
※2023年は10月25日に初観測がされました!
2022年:10月20日
2021年:10月28日
2020年:11月5日
2019年:10月10日
2018年:10月14日
2017年:11月6日
2016年:11月4日
2015年:10月14日
2014年:10月16日
2013年:10月29日
2012年:10月25日
(肱川あらし実行委員会(同市長浜支所内)発表より)
肱川あらしの発生条件は?
肱川あらしは山での雲海と同じような発生メカニズムなのですが、海が近いという点で、水蒸気を多く含む海風が大洲盆地に流れ込むことで発生しやすくなると言われています。
肱川あらしが発生しやすいと言われる条件
・大洲盆地の前日の湿度が高く、翌日にかけて移動性高気圧に覆われてよく晴れ風も穏やか
(放射冷却で夜から明け方の気温差(暖→寒)が大きくなりやすく、盆地霧が発生しやすくなります)
・大洲盆地の気温が低く伊予灘・肱川河口付近の海面温度が高い
(けあらし(蒸気霧)が発生しやすくなります)
・南側からの局地風が吹く
(大洲盆地付近で発生した霧が肱川に沿って移動しやすくなります)
以上の気象条件が整うと発生への期待が高まると言われています。
大洲市の10日間の天気予報
(tenki.jp)
おすすめの展望・撮影スポット
肱川あらし展望公園
駐車場の場所(目安)
住所:愛媛県大洲市長浜甲788-1
マップコード:204 703 024*27
グーグルマップでこの場所を開く
※無料で利用できます
肱川あらしのビューポイントのメインとなる公園で、肱川の河口から瀬戸内海まで一望できます。
2階建ての展望台やトイレ、駐車場を完備しています。
(アクセスや利用案内は後述します)
長浜大橋
駐車場の場所(目安)
住所:愛媛県大洲市長浜甲293
マップコード:204 672 899*52
グーグルマップでこの場所を開く
※無料で利用できます
肱川の河口にかかる跳ね上げ式の可動橋で日本に現存する最古の道路開閉橋です。
橋全体が赤く塗られていることから地元の人は「赤橋」と呼んでいます。
肱川あらしが発生した際には霧の中に映える赤のコントラストを見ようと人気の撮影スポットになっています。
風が吹き抜ける場所なので肱川あらし発生時にはかなりの強風が吹き抜けます。
(寒いので防寒・防風対策があると安心です)
観光開閉もする!
長浜大橋は以下の曜日・時間で観光開閉をするので肱川あらしの鑑賞後に見学するのもおすすめです。
(年末年始や強風時などの荒天時には休止・中止します)
・毎週土曜日・祝日 11:00
・毎週日曜日 11:24頃、13:00
※年末年始は除きます
※概ね10名以上の団体での事前申込で上記時間以外にも開閉をしてくれます
長浜大橋の紹介・お知らせ
(大洲市公式サイト)
名曲「肱川あらし」にも登場する
近年、肱川あらしを更に有名にした一つのきっかけが伍代夏子さんが歌う「肱川あらし」(2017年リリース)です。
この曲は昭和の歌謡界を代表する作曲家、故・船村徹 氏の生前最後の作品として、また、今作で日本作詩大賞(喜多條忠 氏)も受賞するなどロングヒットが続いています。
ミュージックビデオには肱川あらしと共に長浜大橋や臥龍山荘・不老庵なども登場し、楽曲の世界観に引き込まれます。
(長浜大橋は歌詞の中でも登場します)
伍代夏子さん「肱川あらし」のミュージックビデオ
(YouTube/Sony Music(Japan)公式チャンネル)
周辺のおすすめ観光スポット
大洲盆地と肱川の雲海が一望できる展望公園
長浜大橋から雲海展望公園まで車で約75分
(大洲市街から県道230号線・330号線を利用するルートです)
肱川あらしのもととなる雲海は内陸部の大洲盆地で発生しています。その雲海を一望できる展望公園はおすすめの雲海スポットです。
こちらの記事で大洲盆地で発生する雲海の発生条件や時期を紹介しています。
城下町散策
長浜大橋から大洲城跡まで車で約30分
城下町として栄えた大洲は「伊予の小京都」と言われ、江戸期から近代にいたるまでの歴史的な建造物が数多く点在しています。
大洲城や臥龍山荘の他、近世の趣ある街並みから近代のレトロさを感じることができるスポットがあります。
大洲市の観光案内サイト
(大洲市観光まちづくり戦略会議)
大洲観光の現地ガイドツアー紹介ページ
(おおず歴史華回廊公式サイト)
日本一海が近い駅「下灘駅」
長浜大橋から車で約15分
伊予長浜駅からJR予讃線で約15分
ホームから伊予灘を望め、絶景の夕日が眺められると全国的に人気のJR予讃線の駅です。
こちらの記事で見どころや日の入り時間、季節ごとの夕日の方角を紹介しています。
まとめ
・肱川あらしは雲海が海に移動する世界的にも珍しい自然現象
・発生しやすい時期は例年10月~翌年3月頃
・肱川あらし展望公園と長浜大橋周辺は撮影スポットとしてもおすすめ
・伍代夏子さん「肱川あらし」の楽曲でも有名
・周辺には城下町や全国的に人気の駅がある
愛媛県の南予エリアは自然や歴史の魅力がたくさんありますので旅行先におすすめです!
肱川あらしの動画
肱川あらしの壮大な空撮映像を紹介します
肱川あらし展望公園のライブカメラ
(大洲市公式サイト)
肱川あらし展望公園の基本情報
利用案内
開園時間
指定なし
休園日
指定なし
入園料
無料
問い合わせ先
大洲市役所 都市整備課
0893-24-1719
肱川あらしに関する各種情報ページ
肱川あらしの紹介ページ
(大洲市公式サイト)
肱川あらし展望公園の紹介ページ
(大洲市公式サイト)
肱川あらし展望公園への行き方・アクセス
公共交通機関
JR予讃線 伊予長浜駅より徒歩で約50分(約2.5km)
※バス便はありません
車
松山自動車道「大洲IC」より県道24号線、国道378号線、県道330号線を経由して約40分
駐車場
あり
(約20台/無料)
※駐車場は展望台に行く車道の途中(右側)にあり、そこから階段で展望台にいけます
肱川あらしの展望・撮影スポットの地図
肱川あらし展望公園
愛媛県大洲市大洲690-1
長浜大橋
愛媛県大洲市長浜
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川内川あらし
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川内川あらしが発生しやすい時期:9月下旬~3月
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【エリア別】日本全国の雲海スポット
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本格的な登山が必要ない車やロープウェイなどで行けるスポットを中心にご紹介しています。