日本の中でも有名な温泉地を有する東北地方には数多くの湯治場があります。
今回は、その中でも年間を通して多くの方が湯治に訪れる山形県の肘折(ひじおり)温泉を中心にご紹介します。
目次
肘折温泉みどころ
1200年の歴史ある温泉
開湯してから1200年を超える歴史ある温泉郷の肘折温泉は、山岳信仰の対象となる出羽三山の主峰である月山の麓の銅山川に沿うように趣ある旅館が軒を連ねる温泉郷です。
※出羽三山は羽黒山・月山・湯殿山
肘折温泉の名の由来は諸説あり、有名なところでは肘を折った老僧がこの地の湯に浸かったところたちまち傷が癒えたという説があります。このような癒しの効果が広く伝わったからでしょうか、美しく豊かな自然に恵まれ修験の地としての側面も持ったこの温泉郷は古くから湯治場として利用されました。
湯治とは温泉地に長期で滞在し病気や傷などの温泉療養を行うことで、日々くり返し温浴することで快癒に向かう効果を期待したものです。
各地に温泉地がある日本ではなじみ深いもので、非常に古くから行われていました。かつては武士などの戦の傷を癒す目的でも利用されていて、江戸時代以降は広く一般の庶民にもこうした文化が広がったと言われています。現在でも一般的な宿泊の他に長期の湯治プランを用意している宿もあります。
少し長めのお休みなどを利用して伝統的な湯治体験をしてみてはいかがでしょうか。
肘折温泉には20の宿があり、すべての宿にかけ流しの温泉施設があります。肘折温泉では各宿や共同浴場で利用される源泉が異なっている場合もあり、利用する温泉施設によって湯の色やお湯の感触は微妙に異なります。効能も違ってくるので休憩をはさみながら、様々な温泉施設めぐりというのも人気の楽しみ方のひとつです。水分補給を忘れずに体調に合わせて、のぼせないようにしてください。
温泉巡りも良いですが、宿泊した宿の温泉がとても気に入ったという場合には、温泉と部屋の往復するだけで、外に出る必要もなくゆったりとリラックスタイムを過ごせる楽しみ方もあります。どちらの温泉三昧も、きっと日頃の疲れを癒す効果は抜群です。
肘折温泉のみどころ
老舗旅館の丸屋や洞窟温泉の松屋など魅力ある旅館が多数!人気宿を紹介
既にお伝えした通り肘折温泉には20の宿があります。
その中には多くの特色ある温泉宿があり、それぞれに人気を博しています。
また、旅行・温泉宿といえば食事も気になるところ。量・質ともに満足したという声の多い旅館も多数あります。
肘折温泉の中でも特に人気の高い温泉宿をいくつかご紹介します。
丸屋は1868(明治元)年の創業。すでに150年の時を経て今なお人気の和モダンと呼ぶにふさわしい宿です。
部屋数は全部で7室と程よくプライベート空間を演出し、ゆったりとした時間を過ごせます。食事は山形牛が人気ですが、地物野菜など新鮮な山の幸が特に人気です。
貸切風呂や部屋の雰囲気なども人気が高く、源泉かけ流しのヒノキ風呂がついたプランやプライベート空間を独り占めできる珍しいおひとり様プランまで用意されています!
大切な人たちとのリラックスタイムを過ごすのも、ひとりのラグジュアリータイムを過ごすのにもぴったりの宿です。
肘折温泉 手掘り洞窟温泉 松屋は、大正時代に掘られた洞窟の先に秘湯を持つ温泉宿です。
予約制の洞窟風呂は、そこにたどり着くまでもちょっとしたアトラクションのように薄暗い仄明かりの中を進みます。薄暗さや閉塞感も手伝ってゆっくりと流れる時間と静寂を感じることができます。
優心の宿 観月は、屋上にある露天風呂から目の前に流れる川のせせらぎが聞こえるなど自然を体感しながら、開放感あふれる空間と上質な泉質を楽しむことができます。料理も春の山菜や秋のきのこなど、地のものである山の幸を存分に味わうことができます。食事に満足したという方が多いのも人気の理由のひとつではないでしょうか。
湯宿 元河原湯は貸切風呂が事前予約できるプランや季節ごとに旬の食材をギュっと楽しめるプラン、広い和室で子供ものびのび子育て応援ファミリープランなどが人気の宿です。
きのこなどの山菜や牛肉はもちろん、手打ちそばなども人気があり、また貸切風呂の泉質や川側の部屋からの眺め展望風呂からの眺めも絶景だと人気です。
川のせせらぎに癒されたという声も少なくありません。
大友屋旅館は、昔ながらの湯治場の風情が素敵だと人気の宿です。2食付きのプチ湯治プランを利用して長湯される方も多く、連泊にも適した温泉を楽しむには非常に使い勝手がよく、一人旅のコースもいくつかのプランがあり、どのようなシーンで利用してもリラックスできる宿です。
どちらの宿に20ある宿のうち、人気の5つをご紹介しました。ご紹介した以外にも素晴らしい宿がたくさんあります。また、泉質は先述した通り源泉により異なる場合もありますが、どれも一様に素晴らしいです。
その他の旅館情報・予約はこちらから
どの宿も食事に地のものを使うことがが多く、夕食や朝食付きのプランを選ばれた方は満足されている場合がほとんどです。湯治用のコースを設けている宿もあり、湯治用プランでは、自炊用に炊事場が設けられている施設もあります。長期でも短期でも心身をほぐしにお出かけになってはいかがでしょうか。
肘折温泉の観光は朝市から始まる!?
肘折温泉は雪深い地域ということもあり、総じて冬よりも温かい季節に町は活発に動きます。
その冬場の時期を除いた毎日、早朝の5時半頃からにぎわい始めるのが朝市です。
開催時期により時間帯が異なります。
5月~8月は、毎朝だいたい5:30頃から7:30(8時ごろまで)と、4月下旬および9月~11月下旬は 毎朝6:00頃から7:30頃まで開催されます。
地元の朝市組合のご婦人たちが採れたての新鮮な野菜や山菜・果物などを持ち寄り旅館や土産物屋の軒先で市を開きます。今でいうマルシェのような華やかさとは少し違うかもしれませんが、昔ながらの素朴な市は地元の食が普段着のまま並べられています。
他にも手作りのおこわや、山形の地の味である笹巻きのほか、サルノコシケやマムシといった漢方薬まで登場します。
※笹巻きは、防腐効果や乾燥防止効果が高い笹の葉にまかれたもち米を熱湯でゆで上げたものです。
笹巻きの作り方がわかる動画を紹介します
どちらの宿に20ある宿のうち、人気の5つをご紹介しました。ご紹介した以外にも素晴らしい宿がたくさんあります。また、泉質は先述した通り源泉により異なる場合もありますが、どれも一様に素晴らしいです。
その他の旅館情報・予約はこちらから
どの宿も食事に地のものを使うことがが多く、夕食や朝食付きのプランを選ばれた方は満足されている場合がほとんどです。湯治用のコースを設けている宿もあり、湯治用プランでは、自炊用に炊事場が設けられている施設もあります。長期でも短期でも心身をほぐしにお出かけになってはいかがでしょうか。
温泉街の中心地からは少し外れますが肘折温泉 肘折いでゆ館もオススメの日帰り温泉施設です。日替わりで男女入替制の日帰り温泉は露天風呂はないものの湯音の少し低い寝湯などもあり混雑もあまりないのでのんびりリラックスできると評判です。
日帰り温泉施設だけでなく多目的ホールや有料の大広間の休憩室や、個室の休憩室(個室は事前予約要)等も完備しているうえに食堂もあり、温泉に繰り返し入りながら長い時間を過ごせる場所でもあります。特に食堂のラーメンは人気メニューです。(食べログ)
肘折温泉のお土産として人気の肘折カルデラサイダーや温泉炭酸水も販売している売店もあります。
もともと湯治場だった肘折温泉らしく温泉療養相談を行っているのも魅力のひとつです。これは認定温泉医が簡単な健康チェックや入浴の仕方のアドバイスをしてくれるもので誰でも無料で受けられます。時期>>>6月・7月・9月・10月の第2・第4日曜日14:00~
肘折いでゆ館 基本情報
入浴
営業時間: 9:00~19:00(受付は18:30まで)4月~10月
10:00~17:00(受付は16:30まで)11月~3月
※第2・第4火曜定休
入浴料 :大人(中学生以上)450円/小学生250円/幼児無料
休憩
営業時間:
9:00~17:00 4月~10月
10:00~15:30 11月~3月
休憩料 :大人(中学生以上)200円/小学生200円/幼児無料 ※大広間の料金です
※個室は別途事前予約・休憩室料金が必要になります
連絡先 :0233-34-6106
※個室の事前予約はこちらの電話番号へ
googleマップ
カルデラ温泉館は黄金温泉を源泉とする飲泉も楽しめる炭酸泉が特徴です。露天風呂は男女入替制で内湯には冷泉(手足を浸けます)があります。温度がとても低く冷たいと感じる方もいますが、温泉入浴で熱く感じたあとに冷泉へ手足を浸ければ、温冷をくり返しながら長い時間温泉を楽しめるという声も少なくありません。
飲泉は天然のサイダーという声が最も多く、胃腸の働きを活性化すると言われていますので足を運んだ際にはぜひ試してください。軽食が楽しめる食堂(営業時間が短いので注意)や大広間の休憩室も有料で完備されているので休憩しながら長湯を楽しめます。
カルデラ温泉館 基本情報
入浴
営業時間: 9:30~18:30(受付は18:00まで)4月~10月
10:00~16:30(受付は16:00まで)11月~3月
※第1・第3火曜定休
入浴料 :大人(中学生以上)500円/小学生250円/幼児無料
休憩
営業時間:
9:00~17:00 4月~10月
10:00~15:30 11月~3月
休憩料 :大人(中学生以上)200円/小学生200円/幼児無料
連絡先 :0233-76-2622
露天風呂スケジュール(男女入替制)
<4月~10月>
女性
開館~9:50
11:00~11:50
13:00~13:50
15:00~15:50
男性
10:00~10:50
12:00~12:50
14:00~14:50
<11月~3月>
女性
10:00~10:50
12:00~12:50
14:00~14:50
男性
11:00~11:50
13:00~13:50
肘折温泉郷自体が秘境とされる場所でもありますが、さらに奥へ進んだ場所にある石抱温泉(じゃらん)
突然現れたような野湯の佇まいは、まさに秘湯中の秘湯といえるのではないでしょうか。
お湯の底からブクブクと炭酸が湧き出るという温泉は、炭酸泉で体が浮かばないように石を抱いて入ったということから石抱温泉という名がついたという説もあるほどです。
石抱温泉はゑびす屋の管理になっていますが、温泉地からも少し離れている為日々清掃等は実施していません。入浴希望の場合はゑびす屋に宿泊・または予約時に伝えるか0233-76-2008(ゑびす屋)に事前連絡が必要です。
宿の温泉はもちろん、日帰り温泉もまた宿の温泉とは異なる魅力があふれるものになっていて、1日や2日では足りない!と感じる方も多い場所。冬は豪雪地帯、それ以外の季節も山深い秘境地なだけに足を運ぶには少し大変な思いをしながらの行程にはなりますが、それでもリピーターの方が多いのはどこか落ち着いてしまう町の風景と素晴らしい泉質や自然があればこそではないでしょうか。
ひじおりの灯と肘折幻想行回廊
肘折温泉では夏場の7月~9月頃と、冬場の1月~2月頃にそれぞれ季節にあった明かりのイベントが開催されます。
肘折温泉開湯1200年を迎えた2007年から開催されている夏の灯のイベントがひじおりの灯です。東北芸術工科大学の卒業生を中心としたアーティストによる灯籠の幻想的な明かりが温泉街を照らします。夕方から20時頃までの時間、あたりは雰囲気のある空間へと様変わりします。
夜のお散歩を楽しんでみてはいかがですか。
そして、年明けの冬の頃に雪深い肘折温泉ならではの雪に映えるロウソクの炎が揺らめく灯のイベントが肘折幻想雪回廊です。毎年1月下旬から2月下旬までの土曜日になると3mを超える雪壁にロウソクの灯がともります。真っ白の雪は寒さの象徴ですが、ゆらめく炎がまるで暖かさを演出するかのように優しくゆらぎます。
暖かくしてお出かけになってみてはいかがでしょうか。体が冷えてしまった後は、ゆっくりと温泉に浸かり芯まで温まってください。
肘折温泉郷の動画
紅葉の肘折温泉
冬の肘折温泉
秘湯 石抱温泉の様子
肘折温泉郷(肘折温泉観光案内所)の基本情報
利用案内
営業日
年中無休
営業時間
9:00~19:00 4月~10月
10:00~17:00 11月~3月
※肘折温泉 いでゆ館内のため いでゆ館に準ずる
休業日
なし
料金
無料
※但し入浴・休憩・飲食・施設利用には費用がかかります
問い合わせ先
肘折温泉観光案内所
0223-76-2211
肘折温泉郷に関する関連ページ
肘折温泉郷への行き方・アクセス
公共交通機関
JR山形新幹線(等) 新庄駅 →大蔵村村営バス → 肘折温泉 約1時間
※村営バスの詳しい情報はこちら
山形空港 → 観光ライナー利用(運行ダイヤ) → 肘折温泉
※2日前までの予約等が必要
車
山形 →国道13号 →舟形I.C. →県道56号・31号・330号・国道458号 →肘折温泉 約2時間
仙台 →国道48号 →東根 →国道13号 →舟形I.C. →県道56号・31号・330号・国道458号 →肘折温泉 約2時間半
庄内 →国道47号 →新庄市本合海 →国道458号 →肘折温泉 約1時間半
秋田 →国道7号 →酒田 →国道47号 →新庄市本合海 →国道458号 →肘折温泉 約3時間半
※国道458号線の肘折・寒河江間は冬季通行止めに加え未舗装区間があるのと、しばしば落石や天候不良等で通行止めの場合もあるので国道13号の迂回ルートがオススメです。県内の通行止め情報
駐車場
観光協会(いでゆ館内)には数台あり
肘折温泉郷の地図
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