世界文化遺産の登録で話題の長崎県五島市。
その西端にある『大瀬崎灯台(おおせざきとうだい)』は世界遺産の構成資産群にも劣らない絶景を感じることができる観光スポットとして人気です。
日本アカデミー賞で最優秀主演・助演の全ての賞を受賞し話題になった映画「悪人」のクライマックスシーンのロケ地でも有名です。
※今回ご紹介する五島市の福江島には世界遺産候補「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産はありませんのでご注意ください
(五島市の久賀島と奈留島にあります)
目次
大瀬崎灯台のみどころ
五島列島の最西端の断崖に建つ灯台で「日本の灯台50選」にも選出されています。
この場所は中国への海上交通の要衝として古くから重要とされていて、遣唐使(600年代中盤)の時代にも灯台の役割を果たしていたという記述も残っています。
近代では日露戦争の勝敗を決定づけた日本海海戦で、バルチック艦隊を発見した際に発せられた有名な言葉「敵艦見ユ」の第一報を受けた無線電信所(大瀬山/大瀬崎の山頂)があることでも有名です。
現在の白亜の灯台は1971年(昭和46年)に改築されたもので、光の到達距離が約22kmで国内屈指とされています。
※他サイトなどでは「大瀬埼灯台」の表記も見受けられますが、本記事では「大瀬崎灯台」と表記しています
大瀬崎灯台のおすすめポイント
東シナ海を望む灯台の絶景!
映画「悪人」の予告編などにも出てくる景色です
大瀬崎灯台から西側は東シナ海の水平線を一望することができ、島側を向くと断崖が作り出す自然美を見ることができます。
また、大瀬崎灯台への散策路の終着点手前の開けた場所からは、海に囲まれた断崖にそびえたつ灯台を見下ろすこともでき、撮影スポットとしても人気です。
断崖と灯台を望む大瀬崎展望台
大瀬崎灯台の駐車場より約600mの手前にあるのが大瀬崎展望台(駐車場・公衆トイレあり)で、ここからは断崖絶壁に凛としてたたずむ灯台を見下ろすことができます。
灯台へは徒歩でゆく!
上述の大瀬崎展望台から更に進んだ道の突き当りに大瀬崎灯台の駐車場があります。
そこからは徒歩のみでの移動になるのですが、高低差が大きい約1.2km(行きが約20分、帰りが約30分)の散策路を歩くので注意点をお伝えします。
大瀬崎灯台までの徒歩ルートの注意点
1.スニーカーなどの歩きやすく滑りにくい靴を履く
整備された遊歩道を通っていきますが、行きが下り・帰りが登りの高低差が大きく、ところどころ落ち葉や苔などがあり、滑りやすくなっている箇所もあるのでご注意ください。
2.水分を持っていく(特に夏場)
遊歩道や灯台には自動販売機がありませんので、特に夏場は熱中症対策のためにも水分は必ずご持参ください。
3.強風対策も必要(特に冬場)
灯台付近は遮るものがない岬なので、強風が吹く場合があります。
特に冬場は北西の季節風の影響も受けるので、防風・防寒対策があると安心です。
また、強風時には崖上での行動にはご注意ください。
4.トイレは駐車場で済ませる
遊歩道や灯台にはトイレ施設がありませんので、駐車場にある公衆トイレで済ませることをおすすめします。
東シナ海に沈む夕日も絶景!
五島列島最西端の場所にあることから、夕日が東シナ海に沈んでいきます。
その絶景から、大瀬崎断崖として「日本の夕陽百選」にも選出されています。
灯台付近で夕日を見る場合、帰路が暗くなるため懐中電灯などの照明具があると安心です。
暗い遊歩道が不安な方は、前述の大瀬崎展望台からも海に沈む夕日と灯台を一望できますので、そちらで鑑賞するのがおすすめです。
大瀬崎灯台付近での日没時間
(MAPLOGS.COM)
五島市の天気予報
(tenki.jp)
大瀬崎灯台の動画
大瀬崎灯台の周辺もわかる動画をご紹介します
大瀬崎展望台や遊歩道からの遠景・断崖の様子がわかる動画をご紹介します
大瀬崎灯台の基本情報
利用案内
営業時間
24時間開放
※灯台内部には常時入ることはできません
休業日
なし
料金
無料
問い合わせ先
五島市役所 玉之浦支所
0959-87-2211
大瀬崎灯台に関する各種情報ページ
大瀬崎灯台への行き方・アクセス
公共交通機関
路線バス
「福江バス停」より五島バス「福江~向小浦線もしくは福江(荒)玉之浦線」に乗り、約80分、「大瀬崎口バス停」で下車、徒歩約60分
定期観光バス
福江港ターミナルビルから出発して、五島市福江島の主な観光スポットをめぐる観光バスで、Aコース、もしくはCコースは大瀬崎灯台もめぐります。
(事前申込制/最少催行人数2名)
車
「福江港」もしくは「五島福江空港」より、県道27号線・164号線、国道384号線、県道50号線を経由して約70分
駐車場
あり
(無料)
大瀬崎灯台(駐車場)の地図
長崎県五島市玉之浦町玉之浦
Tea break -Cover Story-
断崖絶壁に立つ灯台
ハンドタオルで顔を拭き、水滴だらけのペットボトルで麦茶を飲む。
これが絶え間ないルーティンとなっていた。
目指す先は灯台なのに、下山をしている錯覚に陥るほどの下り道。
さすが、九州本土最西端の灯台だ。
その姿を間近で拝むには相応の苦行が必要なのだろう。
足の踏ん張りが利きづらくなってきたころ、急に視界が開ける。
断崖の上に堂々とそびえる白亜の塔。
正に「絵になる」という言葉がぴったりだ。
そこから灯台のたもとへと続く階段を登ると、少々足がすくむ。
それが長い下り坂のせいなのか、絶壁の上に立っているせいなのは分からない。
しかし、そんなことはどうでもよくなるほど、清々しい。
水平線を見渡すと、地球が丸いということを改めて実感する。
この灯台は、この景色をくる日もくる日も眺め続けているのだと思うと、少しうらやましい。
断崖から見上げる景色と見下ろす景色を堪能し、帰路に就こうとして気付く。
あ、帰りは登り坂だ・・・不安が頭をよぎる。
それでも白亜の灯台は、そんな自分を海行く船と同じように見守り、送ってくれるだろう。